
E・L・カニグズバーグ著の『ジョコンダ夫人の肖像』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作モナ・リザを題材に、レオナルドとサライ、ベアトリチェの三人の関係性や、モナ・リザが描かれる背景にあったストーリーなどが、カニグズバーグの緻密でユーモラスな世界観で描かれた作品です。
以下引用文
レオナルドはパヴィアの建築物を観察した。寛やかな長い上着を着て、静かな落ちついた様子で町の通りを歩きまわり、事物をスケッチし、アイデアを絵にしていった。レオナルドはいつも、神の創りたもうたものを見る時には、神がどのようにしてお創りになったのかを感嘆せずにはいられず、人のつくったものを見る時には、どうしたらもっとよくなるかを考えずにはいられなかった。
レオナルドは馬が好きだった。公のための他の仕事の合間を見ては、その大きな彫刻のデザインを考えるのに余念がなかった。彼はしばしばイル・モロの厩舎に行き、馬をスケッチし、観察した。馬と人間との、骨格や筋肉の相似について研究した。彼はいつも紙と、ペンまたはチョークをたずさえていた。考えごとをしている時にはいつもスケッチをし、ノートをとった。そして考えごとは、いつもしていた。(E・L・カニグズバーグ著 松永ふみ子訳『ジョコンダ夫人の肖像』 岩波書店 より)

林竹二さん、遠藤豊さんの共著による『いま授業を変えなければ子どもは救われない』は太郎次郎社から1981年に発売された本ですが、その中で綴られている言葉は今日の授業の在り方にもそのまま通ずる、切実で昂然としたメッセージに溢れています。
提供する側本位の教育ではなく、それを受ける子どもの人生のための学びについて、沁沁と考えさせられるような素敵な本です。

福岡伸一先生は、合成と分解を絶えず繰り返す生命の現象を『動的平衡』という言葉で表現し、この本は生命に対する生物学的な理解の一つの方法や、本質的な生命活動の仕組みなどについて説明しています。
科学的な視点で語られる様々な事象と、快然で精緻な文体は、教育や他の創造的なあらゆる分野に通ずる示唆を与えてくれます。
以下引用文
生命、自然、環境 —— そこで生起する、すべての現象の核心を解くキーワード、それが《動的平衡》(dynamic equilibrium)だと私は思う。間断なく流れながら、精妙なバランスを保つもの。絶え間なく壊すこと以外に、そして常に作り直すこと以外に、損なわれないようにする方法はない。生命はそのようなあり方とふるまい方を選び取った。それが動的平衡である。(福岡伸一『動的平衡』 小学館 単行本あとがき より)

西村幸夫先生の県都物語は、47都道府県の県庁所在地のある場所の都市について、その成り立ちや特性を都市空間の視点から丁寧に分析・批評しています。


慶應義塾大学 佐藤雅彦研究室+中村至男の『任意の点P』は、平面上に横並びに描かれたさまざまな絵や図形が、付属のレンズを通すことで一つの立体的なイメージになってしまう不思議な本です。
これは、右目と左目のそれぞれに異なってインプットされた視覚情報が、脳の中で合成され、一体化されることによって起こる視覚的な錯覚です。
この本の中には、48枚の作品が収録されており、どれも非常に洗練された線の美しさと、線が空間に浮かび上がっているような歪な感覚を楽しむことができます。

19世紀イギリスの旅行家、紀行作家のイザベラ・バードは、明治11年の日本を旅して、『日本奥地紀行』をまとめます。
彼女はこの旅の中で、横浜・江戸・日光から徐々に北上し、まだ西洋の影響を受けていなかった北日本、当時の外国人にとって完全に未踏の奥地であったアイヌの先住民の伝統的な文化にまで触れています。
またこの本では、日本語訳と英文(ニーナ・ウェグナーによるリライト)が見開きの片面づつに配されているため、英文の多読にも適しています。

建築史が専門の米澤貴紀さん著書の『神社の解剖図鑑』。
数ある解剖図鑑シリーズの一つです。
学校では何故かあまり詳しく扱われない神社ですが、神道は間違いなく日本人の伝統的な文化の根幹にあるものです。
ややこしい名称や場所をただ形式的に覚える必要はありません。
ただ、日本の自然信仰の文化の大きな流れを理解することで、社会の科目に蔓延する暗記ムードを吹き飛ばし、知識の背後にある繋がりの面白さに出会えるはずです!

エリック・カールの『はらぺこあおむし』は誰もが一度は読んだことのある絵本ですよね。
私は彼の絵本の中に隠されたカラクリが子どもの頃から大好きでした。
実は彼の絵本は、トレーシングペーパーに絵の具で着色したオリジナルの紙を用いた貼り絵なんです。
また英語版には中学校で習うたくさんの基礎単語が登場します。

矢野健太郎先生の著書『数学物語』は、数学の歴史を学ぶための必読書です。
学校では、数学について何故かその歴史は驚くほど徹底して扱われません。しかし、子どもたちの疑問の多くは、歴史の中に記述されており、時折歴史を知らない大人の方が、そんな子どもたちの疑問に的外れな指摘をしてしまいます。
どうやって我々の祖先たちは、数を数えたのか。数学という学問の発展の壮大な歴史についてわかりやすく学ぶことができる一冊です。

クリストファー・マーレーの『PHEROMONE : 世界一うつくしい昆虫図鑑』は、虫たちの生体を非常に興味深い様々な視点から捉えています。
昆虫同士の配列のデザイン、また単体の昆虫をポートレートとして撮影した写真作品の数々は、図鑑に添付された写真の価値を超えて、芸術として見る者を圧倒します。
そこに集約されている情報は、昆虫好きのための、生息地や種別の羅列ではありません。
昆虫の体からデザインの要素を抽出し、色やカラダの模様のパターン、構造、質感、大きさなど様々な切り口から昆虫を説明しています。


学校の教科書の中にも、谷川俊太郎さんの詩はたくさん紹介されています。
『こころ』について。
詩の中の言葉がまとう、空気のようなものを、出来るだけまっさらに、考えるよりも、感じとるように読みたくなります。
あとで感想文を書かされると、たぶんかなり困ります。
モヤっとしたような、ふわっとしたような、ガツンと来るような、そんな形容しか私には出来ないのですが、そういう楽しみかたも、言葉の醍醐味だとおもいます。


この本では、近代建築の巨匠ル・コルビュジェの建築作品が紹介されています。
建築は、私が勉強を好きになったきっかけでもある分野です。